数あるマーケティング戦略の中からInstagramを用いて認知拡大や見込み客の獲得などの戦術を取ることを選択されている、もしくはこれから運用を検討している方も少なくないことでしょう。
今回は病院、クリニック(医院、診療所)のInstagram運用、集客について解説しています。
目次
Instagramを運用して見込み客を集客(集患)しようと考えているあなたへ
まず最初に、そもそも数多くある中からInstagramを選んだのでしょうか。
- 異業種ビジネスでもInstagramを運用しているから
- Instagramの日本上陸から流行っているから(いまだ廃れてないから)
- SNSの中でアクティブユーザーが多い方だから
- ターゲットとしている客層がInstagramを利用しているから
もし、あなたがこの様な理由でInstagramの運用を始めようとしているのであれば・・・・残念ながらかなり高い確率で失敗するでしょう。
そもそも、環境分析や基礎戦略を経て、具体的なマーケティング戦略、戦術へと落とし込むことがビジネスの基本中の基本です。
ただ何の根拠もない、トレンドや流れ、真似事が理由であればどんなビジネスでもその戦術は失敗に終わりますので本質を理解したうえでの戦略、戦術の選定をおすすめします。
実際、Instagramを見て来院の動機となる見込み患者はどれ程いるでしょうか?
後述しますが、結論として特に病院、医院の来院の動機や来院経路では、Instagramはじめ、SNSからの割合はかなり低いのが現実です。
言い換えると、病院やクリニックを見込み患者が探す際に、SNSで検索するのではなく、その他の媒体を使用しているということです。
この状況であってもあなたが来院の動機、経路の1つとして新たに増やしたいのであれば、ぜひこのまま読み進めてください。
そうでない場合は、後述する注力すべき施策の項目からご参考ください。
病院やクリニック(医院、診療所)のInstagramの集客(集患)
あくまでもメインの集客方法としてではなく、サブ的な集客方法の1つとして用いる、もしくは別の役割としてInstagramを用いるという考え方です。
病院やクリニックでのInstagramの役割の例として以下があります。
- メイン媒体では表現しにくいコンテンツをInstagramで投稿する
- あるサービスだけに特化したプロモーション活動としてInstagramを活用する
- ブランディングや認知拡大のためだけにInstagramを活用する
①メイン媒体では表現しにくいコンテンツをInstagramで投稿する
病院やクリニックのオウンドメディアとして多くの方がホームページを利用していると思います。
いわばインターネット上の病院の顔とも言えますので、これまでの伝統的なイメージなど少しお堅いテイストでデザインを統一しているケースもよくあります。
見込み患者にとって有益なコンテンツであっても、内容によってはもう少しカジュアルにしたほうが伝わりやすい。
しかし、統一しているテイストにそぐわない。
こういった場合のコンテンツの提供媒体としてInstagramを活用します。(必ずしもInstagramだけではなくあくまでも選択肢として)
ホームページ上のコンテンツは従来のお堅いテイストを守りながら、Instagram上ではこれまでよりも少しカジュアルなテイストで表現するという考え方です。
ただし、病院のイメージを損なうような極端なテイスト変更はかえってブランディングの妨げとなるため充分注意しましょう。
②あるサービスだけに特化したプロモーション活動としてInstagramを活用する
病院やクリニックといった規模によっても異なると思います。
すべてのサービスに関するコンテンツをInstagram上で提供するのではなく、例えば小児科のみ、産婦人科のみといった特化したコンテンツを提供する役割としての位置取りとして考えます。
コンテンツマーケティングでは、深く網羅したコンテンツや何かに特化しているコンテンツは非常に有効的です。
尚且つ、Instagram自体、特化アカウントや特化コンテンツとの相性が良いため、アカウントの運用をより効果的に行えます。
③ブランディングや認知拡大のためだけにInstagramを活用する
病院やクリニックのブランディングや認知拡大の役割としてInstagramを活用することもできます。
ただし、Instagramの運用目的をブランディング、認知拡大とするため、あくまでも集患は間接的なものとしてお考え下さい。
病院・クリニックのInstagram運用の注意点
多業種と異なり、病院やクリニック、美容整形外科などのInstagramを運用する際には注意が必要です。
Instagramの投稿であっても、医療広告ガイドラインの規制対象に含まれるため、必ず遵守するようにしましょう。
- 治療内容に関する体験談の禁止
- 治療効果に関する体験談の禁止
- 他院との比較優良広告の禁止
- 説明なしのビフォーアウターの掲載の禁止
- 誇大、虚偽広告の禁止
- 根拠のない効果、効能に関する広告の禁止
などが挙げられます。
その他知識が曖昧な方は、いま一度厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」の関連記事をご覧ください。
※Instagramの運用に限らず、SNSを運用する際はホームページ内にソーシャルメディアガイドラインを提示した方が賢明です。
Instagramよりも注力すべき病院やクリニックの集患方法とは
Instagramの運用自体は決して悪くはないですが、先述した医療広告ガイドラインによる規制だけでなく、マーケティングの観点からしても、あまりおすすめはしません。
あるアンケートでは、以下の興味深いデータ結果がでています。
病院を探す方法(複数回答可)
①公式ホームページ 約55.3%
②家族や知人の紹介 約47.2%
③口コミ・情報サイト 約39.0%
④Googleマップ 約17.3%
ご覧のように圧倒的に公式ホームページが過半数を超えている結果となっています。
次いで口コミ・情報サイト(病院や歯科医院などに特化したポータルサイトなど)、Googleマップでの検索も見逃せません。
これらの多くは、どれか1つの方法で病院やクリニックを探しているのではなく、複数の方法で探していることも示しています。
残念ながら、あなたがこれから注力しようと検討しているInstagram含めSNSで病院やクリニックを探す見込み患者はかなり少ない状況です。
そもそもであるマーケティングにおいての3つの重要なポイントである3M(マーケット、メディア、メッセージ)の観点で検証してみましょう。
市場、メディア、メッセージの3つが適切であってこそ、より強力なマーケティングが展開できると言われています。(ダン・S・ケネディ提唱)
3Mの観点、アンケート結果からしても、病院やクリニックのInstagramの運用は、少なくとも最優先すべき施策ではないことがわかるでしょう。
注力すべきはホームページ、口コミ・情報サイト、Googleビジネスプロフィールです。
参考にする可能性、探す可能性が低い媒体に注力するよりも、多くの割合で病院やクリニックを探してる媒体に注力した方が、効果的であり、効率的だということです。
本記事の冒頭で挙げたInstagramの運用理由
- 異業種ビジネスでもInstagramを運用しているから
- Instagramの日本上陸から流行っているから(いまだ廃れてないから)
- SNSの中でアクティブユーザーが多い方だから
- ターゲットとしている客層がInstagramを利用しているから
が該当する方の考え方は危険だとお伝えしたのはこのためです。
それでもあなたは、魚のいない大海原で釣竿を垂らして釣りをしますか?
病院やクリニックでInstagramを運用を検討するよりも、まずは自社のホームページ、Googleビジネスプロフィールの最適化をお勧めします。