ビジネスの規模の大小、業種問わず、売上(収益)が上がらないことには次第に負債が増え、経営を圧迫して不振となります。
設備投資、負債の返済、従業員の給与や賞与などは売上からすべて賄っています。
ビジネスを行うものにとって誰もがもっと売上を伸ばしたい、利益を伸ばしたいと思うのは当然ですが、肝心な売上が伸びないことには、どんどん負のサイクルへと陥るのは承知のことです。
今回は売上を伸ばすために最適化を行うべき理由の把握と重要性について解説していきます。
なお、できる限り難しい用語は避け、かみ砕いて解説していきますので、ご了承ください。
目次
①現在の売上はどうやって作っているのか
まずは、現在の売上はどうやって作っているのかをもう一度こと細かく確認していきます。
期間別売上客数・点数・転換率
年間、半年、四半期、月間、週間と期間別に売上客数がどう変化しているのかをチェックします。
※なお転換率とは売上点数を客数で割った数字を指します。
その際に注目すべきポイントとして以下の3つの観点で見てみましょう。
- 季節的な浮き沈みはないか
- 突発的な施策(広告やキャンペーン)を投入し、一時的に伸びている期間はないか
- 過去3年と比較し、どう変化しているか。そして下がっている原因は何か理解できているか
例えば、あなたのサービスが季節に影響を受けており、夏季は売上が良いものの、冬季は売上が悪いの繰り返しだった場合。
これに対して
- 行っている現在の施策は何か
- それがどう機能して売上向上に結びついているのか
- それを改選する余地はまだあるのか
- それとも撤退し、別の施策を試みる時期ではないのか
など再検討します。
また、突発的な施策を投入し、一時的に伸びている期間がある場合、それを継続的に行うことができるか、内容を変えて年間通して活用できないかなどを再検討します。
さらに過去3年間とで比較した変化の原因は何かを突き止めることで、今後売上を伸ばすための参考材料にします。
売上が伸びない特徴として
- 成果が出ていないのに無意味に継続している施策(PDCAサイクルが機能していない)
- ある一定の施策のみに依存している
この2点がよくあります。
ややマインド的なことにもなりますが、「仕事をしている気」になっており、肝心な成果が挙げられていない状態は、ビジネスにおいては危険です。
また、ある一定の施策にのみ依存している場合、万が一その施策が不振となった場合に次の施策を検討するまでの行動が遅い結果、売上の伸び悩みに繋がります。
例えるなら、飲食店や美容院、ネイルサロン、エステサロン、その他様々なポータルサイトに登録し、そこからの集客のみでほとんどの売上を作るビジネスも該当します。
もし、そのポータルサイトが何らかの理由で機能しなくなった場合や、競合他社がサイト内にひしめき合い、どこも同じようなキャンペーンや価格競争に巻き込まれる場合も少なくはありません。
自社で行う、しかも複数の施策の組み合わせにより成り立っているビジネスの方が売上が伸びやすく、繁盛し、依存しているビジネスの方が一定時期は良いものの、後に伸び悩み、状況によっては衰退する場合が多く見られます。
LTV(顧客生涯価値)の見直しと最適化
LTVとはある一定期間の顧客一人当たりの売上を指します。設定する期間は業種や意図する目的、顧客サイクルによって様々です。
売上を伸ばすにはあなたのサービスを繰り返し購入し、長い間売上に貢献する顧客がどれくらいいるか、そして最大限にLTVを伸ばす施策がいくつあるかによって非常に左右されます。
売上が伸びない企業、店のは顧客の存在の重要性を理解していない、LTVを最大限にするための努力をしていない特徴を持っています。
あなたのサービスを何らかの理由で贔屓し、何らかの理由で繰り返し購入し、しかも何年もの間、絶えずそばに居続ける理由は何かを理解することから始めます。
「売上=客数×客単価」
昔はこれで成り立っていた時期もありましたが、現代のビジネスで勝ち続けるには
「売上=客数×客単価×リピート回数」
を常に意識しておくことが大切です。
もちろん、ただ意識し「上がった」「下がった」と一喜一憂するのではなく、「なぜそうなったのか」原因を追究し、問題解決するための行動をいかにスピーディに行うかが重要だということは言うまでもありません。
「客数」「客単価」「リピート率」それぞれを増やすために
- 行っている現在の施策は何か
- そして思うように機能しているのか
- 続けることでどれくらいの伸びが期待できるのか
を理解し、続行すべきか新たな施策を取り入れるべきかを検討します。
顧客の増減の把握と最適化
付随して注目すべきポイントである顧客の増減について。
売上を伸ばすには「顧客を増やす」と同時に「顧客の減少を出来る限り阻止する」この2点です。
増やすことにばかり注力し、減少を阻止する活動を怠る企業や店も売上が伸びない特徴として挙げられます。
残念ではありますが、長年ご贔屓頂いている顧客もいつかは何らかの理由で離脱してしまいます。
- 転勤や転職による引っ越しによる離脱
- 複数回でサービスに満足したことでの離脱
- 1度のサービスで利用する必要がなくなったことでの離脱
- クレームによる離脱
など、理由は様々です。
しかし、これらのうちのいくつかの理由での離脱をできるだけ阻止することで、顧客数の減少を抑えることは不可能ではありません。
一定の期間でどれくらい顧客が増え、どれくらい減っているか理解できているでしょうか。減少を抑えることは、結果的に顧客の増加を加速させ、売上を伸ばすことに繋がる重要すべき項目です。
②現在の客の集客経路と購入までの過程はどうか
続いては現在のお客様の集客経路や行っている購入までの過程について見ていきましょう。
つまり、あなたが行っているマーケティング活動全てに該当します。
どのように集まっているかを把握する
実際にお客様があなたのサービスを求め、数の大小はあれど集まってきていると思います。
それが「ホームページ、ブログ、WEB広告、チラシ、口コミ、紹介」などどの経路からの集客なのか、そしてどれほどの割合なのかを把握することから始めます。
例えば、それがホームページであれば、それを更に加速させるには、
- どんな施策を加えた方が良いのか
- 改良することでより高い確率で集客できないか
- 何かと組み合わせることでもっと増やすことはできないか
などを見直し、検討していきます。
売上が伸びずに悩む企業や店の特徴として、このマーケティング活動の曖昧さが挙げられます。
- 「良いからと聞いて立ち上げたSNSを実際は効果がなかったから放置している」
- 「作った、作ってもらったホームページで満足し、運用せずに放置している」
- 「LINE公式アカウントを立ち上げるまでは良かったものの、少しずつ友達数は増えていても放置している」
やったつもりは全てやっていないのと同じです。
購入までの過程を把握する
集客経路の把握と同等に大切な購入までの過程の把握。
これは現在行っているマーケティング活動全てにおいて関係のあることです。
- 何かきっかけであなたのサービスの存在を知ったのか
- 何がきっかけで他社との比較段階にまで至ったのか
- 何かきっかけで購入しようかろ検討するにまで至ったのか
- 何がきっかけで実際に購入したのか
- 何かきかっけで、更に繰り返し購入し続けているのか
不透明なほど、売上を伸ばす手段や施策が見いだせず、結果伸び悩むことに繋がります。
PDCAサイクルを一定の期間回す
例えば、Instagramのアカウントを立ち上げ、運用した後、放置したとしましょう。
もし、様々なテストを試み、最終的に自分のビジネスには適していない施策であったという結論にまでたどり着いたのであれば構いません。
しかし、そうでない場合はあなたのサービスを購入するかもしれない可能性を自ら遮断しているのと何ら変わらない状態です。
我々マーケティングに関する仕事を行っていると様々なクライアント様の悩みや相談を聞くことが増えていきます。
始めたきっかけ、やめたきっかげが「何となく・・・」「いつのまにか次第に・・・」という心構えを持っている方は売上が伸びない傾向が大いにあります。
どんな施策であっても正直な話、やってみなければわからないことはたくさんあります。また、ビジネスやターゲットによって相性が良いもの、そうでないものもあるのは事実です。
しかし、試行錯誤を繰り返し、自社におけるマーケティングの仕組みが確立できた場合、ビジネスは大きく飛躍します。
顧客や見込み客は絶えず増え、安定した売上と、日を追うごとに加速する売上の伸び、それが24時間365日続いていきます。
結論は分析にある
今回の記事で解説したことは、全て「分析」という1つの言葉で示すことができます。
つまり、「未知」はビジネスを飛躍させるきっかけを損ない、新たな施策を見出すタイミングを損ない、次第に減少する売上の原因を損なってしまうことに繋がります。
分析するには多くの時間と労力を費やします。しかし、分析することで得られるあなたへのメリットはそれ以上にあります。
なぜもっと儲からないのか、なぜ売上が伸びないのか、壁に当たった時はまず「自社のことを知る」ことから始めることが大切です。