欧米、米国などの先進国ではコロナ渦以前より、日本では特にコロナ渦よりインサイドセールスを取り入れる企業が増加しており、営業の効率化を図っています。
「営業は足を使え」という社風もまだまだ残ってはいますが、昨今の労働人口減少による人材不足や早期離職率の高さ、生産性を考慮してインサイドセールスに注力する企業は年々増加傾向にあります。
今回は、このインサイドセールスの効率化に欠かせないリードクオリフィケーションについて解説します。
※インサイドセールスとは、メールや電話、WEB会議ツールなどを用いて行う内勤の営業活動及び担当者を指します。
目次
リードクオリフィケーションとその意味
クオリフィケーション(quolification)=条件を付ける、制限を付ける
リードクオリフィケーションとは、リードジェネレーションにより獲得したリード(見込み客)をリードナーチャリングにより育成したのちに行う活動です。
主な活動内容として、リードナーチャリング後に、企業内で定めたスコアリング(採点方法)により、よりサービスの成約(購入)に近いリードを可視化して選別します。
リードをスコアリング、選別することで自社の営業活動の効率化を目的とします。
リードを更に絞ることで、売上が下がってしまわないかと考える方もいらっしゃるかと思いますが、実際はその逆であり、それ以上に自社にとってメリットをもたらしてくれます。
リードクオリフィケーションのメリット
リードクオリフィケーションを行うことで自社にとって大きなメリットをもたらしてくれます。
①営業効率の向上
リードナーチャリング後にスコアリングを行い、選別することで、より成約に近いリードの可視化が可能となります。
つまり、自社のマーケティング部門による施策後、営業部門へ成約に近いリードを引き継ぐことができます。
リードと言えど、ニーズやウォンツの状態は様々です。
獲得したリードに対して片っ端から営業をかけるといった非効率的な営業を避け、「狙い撃ち」できるのがリードクオリフィケーションのメリットであり、魅力と言えます。
逆を言えば、リードクオリフィケーションを行わないことで、成約から遠いリードに対しても営業をかけてしまう可能性が高くなり、営業への負担はもちろん、せっかく得たリードを離脱させる可能性も生じてきます。
それぞれのリード管理の役割や目的を正しく理解すれば、自ずとその重要性が理解できるでしょう。
リードジェネレーション:自社が定めたターゲットに対して活動を行い、認知拡大や見込み客を獲得する
リードナーチャリング:獲得した見込み客に対し、ニーズやウォンツを高めて育成する
リードクオリフィケーション:育成したもしくは育成途中の見込み客に対してスコアリングを行い、営業をかける見込み客を選定する
②不利益な営業活動を避ける
興味や購買意欲が低いリードに対しての営業活動は、先述したように非効率である他、せっかく獲得した大切なリードを離脱させる原因ともなります。
リード管理を繰り返し精査し、自社が定めたスコアリングに応じて営業活動をかけることができますので、企業側、リード側の双方にとって有意義です。
また、営業担当の過剰配置も避けることができますので、人員コスト面もメリットとして挙げられます。
リードクオリフィケーションの流れ
続いて、リードクオリフィケーションを行うにあたり、全体の流れを把握していきましょう。
なお、リードクオリフィケーションの流れの一部は、基礎戦略の決定時に行うSTP分析と似ている点がありますので、比較的スムーズかと思います。
しかし、STP分析で行ったセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの内容をそのまま利用するのではなく、実際に獲得したリードに対して行いますので、間違えないようにしましょう。
①セグメンテーションを行う
まずは、獲得したリードに対してセグメンテーションを行っていきます。
セグメンテーション、つまり獲得したリードを自社で定めた基準をもとに(業種や業態、興味や関心などの属性、価値観など)グループに分けていく作業です。
リサーチを行い、特徴を明らかにしていくこと、そして、このセグメントに分ける時の切り口(セングメンテーション変数)の発見こそが最も困難且つ重要なポイントです。
一度で決めつけるのではなく、ニーズや購買行動などに基づいて試行錯誤を重ねながら、様々な変数の中から自社にとって最適な変数を見つけ出すことが大切です。
②カスタマージャーニーマップで可視化する
セグメンテーションを終えたら、それぞれのセグメントにおいてカスタマージャーニーマップを作成し、可視化していきます。
カスタマージャーニーマップは、マーケティングにおいて様々な面で利用しますが、今回はセグメントしたリードのグループが自社との最初の接触から成約までの流れをよりわかりやすくするために行います。
③スコアリングのシナリオ設計と実施
スコアリングのシナリオとは、リードがどのような行動を取った場合に何点のスコアを付与するかといった条件を定め、カスタマージャーニーに沿って整理していく作業です。
スコアの付け方は属性、行動、アクティブなど様々で、自社が定めた「成約に繋がる条件」や「既存顧客から見出される共通点」などを参考にしましょう。
リード数が多くなるほどかなりの作業量となりますので、規模や予算に応じてMAツールの導入も検討すべきです。
スコアリングの例
スコアリングが高い=成約率が高いリードであるということを示します。
- 属性によるスコアリング(リードが部長クラス:10点 課長クラス6点 主任以下3点)
- 行動によるスコアリング(セミナー参加:10点 見積請求:15点 資料請求:7点)
- アクティブ度によるスコアリング(直近1ヶ月以内 :10点 1ヶ月以内:6点 3ヶ月以内:3点)
④営業担当への引継ぎ
スコアリングを終えたリードのリストを営業担当に引き渡します。
これまでの流れを読んでわかるように、こうしてより成約率の高いリードに対してのみ営業をかけますので、より高い成約率を目指すことができます。
また、効率的でもあり、無駄なリードの離脱も防ぐことができます。
これがリードクオリフィケーションの役割であり、魅力でもあります。
⑤シナリオの検証と改善
スコアリングのシナリオは作成した段階におけるいわば仮のシナリオです。
シナリオ作成時に設定した高スコアでも実際は、思うように成果が得られない場合も少なくありません。
リードクオリフィケーション、セールスの成約率に応じて、検証や改善を定期的に行うことが重要となります。
マーケティングは、常に最適化を念頭に置いて行うものです。
検証や改善を行わず、一度設定したプランの使いまわしは機会ロスを生む場合もありますので、充分ご注意ください。
ポイントはスコアリングと直接ニーズの欠け合わせ
企業によってはマーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門といった分業された組織形態の所もあるでしょう。
分業によってより専門的なスキルを注力できるため、メリットではありますが、デメリットの1つである「実際との差」が挙げられます。
直接商談を行っているフィールドセールスが感じてるスコアリングとの差を埋めるべく、それぞれの部門と直接把握できるニーズを欠け合わせて精査することがより実績に結びつきやすいポイントです。
各部門との連携を取りつつ、情報を共有し、繰り返し精査していきましょう。