マーケティングに興味がある方や担当者なら一度は耳にしたことがあるペルソナ。
- ペルソナという言葉は聞いたことがあるがいまいち理解していない
- ターゲットとの違いがわからない
このような方へ、今回はペルソナとはどういったものの指すのか、ターゲット設定との違いやペルソナを作る目的について解説していきます。
目次
ペルソナの由来と意味とは
そもそもペルソナは「仮面」という意味を持ちますが、スイスの精神科医、心理学者であるカール・グスタフ・ユングが「自己の外面的側面」という概念から生まれた言葉です。
ビジネスシーン、マーケティングにおけるペルソナとは【自社商品やサービスの典型的なユーザー像】を指します。
ターゲットとペルソナの違い
自社のサービスを「誰に」向けて提供するのかを定める際に必ず設定するターゲットでは「〇〇市在住の40代の〇〇経営者」というように地域やどんな人であるという属性で設定したり、サービスの提供にエリアを問わない場合や全国または複数のエリアでサービスが可能な場合だと「〇〇で悩む(〇〇になりたい)30代前半の女性」といった悩みやこうなりたいと願望を持つ状態で絞ったりします。
ペルソナの設定例
一方、ペルソナは以下の例のような状態にまで落とし込んだものを指します。
今回は企業側のサービスをパーソナルトレーニングジムと仮定したペルソナ作成例としています。
名前:鈴木一郎
居住地:神奈川県川崎市
性別:男性
年齢:39歳
身長/体重:182㎝ 69kg
家族構成:妻、子供2人
最終学齢:大学卒
職業:健康食品会社営業部部長代理
通勤時間:40分
月の小遣い:35000円
優先順位:1.仕事 2.家族 3.お金 4.健康 5.プライベート 6.趣味
使う媒体:PC、スマホ
使う検索:Google一択
その他のメモ:仕事が生きがいで、やっと部長代理まで昇格し、ますます仕事に尽くしたい。
過去に大きな病気をしたこともなく、健康には自信があったため、自身の優先度は低かったものの、30代半ばを過ぎた頃から体力の衰えを感じ始めたのをきっかけに、健康に気を遣うことにした。
また、設定したペルソナを更に掘り下げ、自社がどの様なアプローチを行い、見込み客獲得までを描く導線のベースをまとめたペルソナシートに仕上げます。
お悩み:数年から健康を意識してまずは、食生活の見直しやサプリの摂取などを試しているが、年齢を重ねるごとに、これだけではダメだと感じている
日々のルーティンとして散歩からはじめ、ランニングや軽い筋力トレーニングを取り入れようとしたが、就業時間が遅いと対さぼりがちでなかなか持続できていない
本格的且つ、半ば強制的にでもトレーニングできるような環境が欲しい
顧客のゴール:【見込み客時】摂るべきサプリの種類やお勧めサプリランキングなど以前興味のあったサプリ関連のコンテンツ提示
サプリ摂取だけでの生活の場合に生じるデメリット、サプリと並行してトレーニングを行うことでのメリットの提示
トーレ―ニングが持続できない人の特徴とその解消法の提示
生活習慣別に向いているトレーニングジムの種類と選ぶポイントの提示
実店舗のトレーニングジムとオンラインの違いやメリット、デメリットの提示
通常のトレーニングジムとパーソナルトレーニングジムのメリット、デメリットの提示
など自社サービスに遠いところから、徐々に近づけるようなコンテンツ設計
着地媒体:自社ブログ、自社HP、自社LP
見込み客のゴール:各ページからのお問い合わせ、お試し体験の申し込み
以上、ご覧のように、ターゲット設定とペルソナ設定は「深さ」が大きく異なることが理解できると思います。
ペルソナを設定する目的やメリット
では、なぜ具体的な人物像にまで落とし込んだ方が良いのでしょうか。
ペルソナの最大の目的は「自社が展開するマーケティングの精度を高め、効率化を図り、サービスを売る」ためです。
次いでペルソナのメリットについて詳しく解説していきましょう。
①プロジェクト内での意思疎通がスムーズになる
社内の体制によっては複数人のチームでマーケティングのプランニングから実行、検証、改善までを行う際、ターゲット設定だけの場合とペルソナまで落とし込んだ場合とで比較すると理解しやすいです。
仮に別のターゲットを作ってみましょう。
「アウトドアが好きな30代男性」をメインターゲットとして設定した場合
プロジェクトチーム内のあるスタッフは
「ソロキャンプにハマっている30代男性」とイメージしたり
また、あるスタッフは
「海、山問わずとにかく自然と遊ぶことにハマっている30代男性」とイメージしたとすると、この2者間だけでもターゲット像が大きく異なり、ズレが生じてしまいます。
ペルソナまで落とし込み、より具体的な人物像にまで作り上げた場合、このズレが解消されます。
人によって異なるイメージを持つ状態では、これから展開するマーケティングのプランニングやクリエィティブなど様々な箇所でもズレが出てくる可能性が高くなります。
複数人にマーケティングプランの案を考えてくる様に指示したとすると、「いや、そうじゃなくて、こういう感じ」と訂正を余儀なくされる状態が目に浮かびます。
しかし、ターゲット設定を行い、更にペルソナ設定を行うことで「この掲げた人物像」に向けてのマーケティングプランの作成やコピーライティング、クリエイティブの作成などがスムーズになります。
無駄な時間コスト削減にも繋がりますね。
②ニーズがより明確になりやすい
ペルソナを設定し、具体的な人物像を作ることでニーズの発掘がしやすくなります。
「ターゲット、更にペルソナが必要とするサービス(商品)=自社のサービス」
という方程式を完成させるようなサービス(商品)開発することで、おのずと売れるサービスに近づきます。
具体的な1人に絞ってしまうとその当てはまる人以外に全く売れないのでは?と考える人もいるでしょう。
しかし、1人が持っているニーズは、その他の多くの人が持っているニーズでもあり、逆に曖昧なターゲットや幅広いターゲットに向けたサービスはかえって誰にも売れないサービスが出来上がってしまいます。
ターゲット、ペルソナの心に刺さるサービス開発を目指して行くことが非常に重要なポイントです。
③マーケティングの精度を高める
ペルソナには、マーケティングの精度を高める役割も持っています。
先述したパーソナルジムの例で、もしこのペルソナ設定を行なっていない場合、具体的なターゲット像が描きにくく、その後のマーケティング戦略の選定が困難になる場合があります。
パーソナルジムに通う、通おうと検討しているユーザーには
- 以前からジムに通っているがなかなか思い描くような効果が見られない
- 自分だとついさぼりがちのため、専属トレーナーをつけて目標を達成したい
- 僅かな自由な時間で効率よく短期間集中的にボディメイク、ダイエットをしたい
などいくつものニーズ、ウォンツが存在します。
様々なニーズやウォンツの中からどのターゲットを狙い撃ちするか、これをペルソナを設定するのとしないのとでは、精度が大きく異なります。
多種多様なニーズが存在するからこそ必要なペルソナ設定
ペルソナとはどんな意味なのか、そしてターゲットとの違いや役割について理解できましたか?
現在、自社で様々なマーケティング戦略を試みているものの、うまくいかない、もっと良い結果に繋げることができないだろうかとお悩みの方は、一旦初期段階に戻って再度分析を行い、このペルソナの設定含め、STP戦略から見直すことをお勧めします。