新型コロナはウイルスが「収束」にも「終息」するにも程遠いとはこの記事を書いている2020年5月15日。
緊急事態宣言が解除された地域では、徐々に営業再開する業種も増えています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため長期間に及ぶ営業休止や営業時間の短縮を強いられたため、 収益が大きく減少している事業者も多いでしょう。
喉から手が出るほど早く売上が欲しい気持ちは充分わかりますが、新型コロナウイルスにより変化した市場や顧客、競合に対して、これまでと同じ戦略はもはや通用しません。
今回はこれからのアフターコロナに生き残るために行うべき分析の必要性や戦略立てについて解説していきます。
目次
アフターコロナに生き残るための現状分析
もはや目に見えて分かるほどの市場は大きく変化し、顧客の消費行動にも大きな変化が見られます。
特に実店舗ビジネスにおいて大きな打撃を与えているこの状況の中で今後、いかにこの環境の変化に柔軟に対応し、まずは数ヶ月前までの経営状況にまで回復させる、そして今後さらに飛躍させるためには「知る」ことが非常に大切です。
分析しなくとも分かるほどのこの変化に対し、肌感覚だけでこれまで行なってきたようなマーケティング戦略を展開することは危険を意味します。
着実に V 字回復させ、その後少しずつでも売上が伸びるよう現状を改善するために、様々な角度から分析し、まずは事実を知ることから始めましょう。
PEST分析でマクロ環境を分析する
今回の新型コロナウイルスの影響により変化したマクロ環境の変化、つまり世の中の流れがどう変わったかを知るために、PEST分析のフレームワークを用いて分析を行いましょう。
PEST分析とはマクロ環境(自社では操作できない環境)において、政治面、経済面、社会面、技術面の4つの観点でどのような変化が生じているのかを把握するために行う分析です。
新型コロナウイルスのPEST分析例
本来であれば、より詳しく行うべきですが、今回は簡単な事例として新型コロナウイルスにより変化したマクロ環境の分析例を挙げてみますので、参考程度にしてください。
P:Politics 政治面の環境変化
- 特別措置による融資制度や補助金制度の条件緩和
- 持続化補助金や持続化給付金制度
- 地方自治体による独自支援
- 緊急事態宣言による事業休業や営業時間短縮の要請 など。
E:Economic 経済面の環境変化
- 株価下落
- 緊急事態宣言の要請による事業収益の大幅下落
- 雇用削減や労働時間短縮による世帯収入減少
- 巣ごもりによる消費行動の変化
- 物流事業の増益
- 感染予防商品の需要増加 など
S:Society 社会面の環境変化
- オンライン化の抵抗の薄れと価値の向上
- オンライン〇〇の普及
- ECサイトの利用増加
- 自宅にいることでの新たな快楽の発見とストレス
- 買占めや転売
- 感染者や医療事業やへの差別やいじめ など
T:Technology 技術面の環境変化
- IT・AIの更なる技術革新
- 異業種からの新規企業参入や技術提供
- 3Dプリンターでの製造活用拡大 など
ざっとピックアップしても、マクロ環境でたくさんの変化があります。
このようにPEST分析を用いて、企業やビジネスジャンルに応じて、様々な観点から分析して現状を把握します。
PEST分析とビジネスアイディアを紐づかせるポイントとして、4つの外部環境との関連性やトレンド性を見極めましょう。
また、分析にもとづいて仮説を立て、中長期に渡る戦略を練る思考を持つことが大切です。
3C分析でミクロ環境を分析する
PEST分析によりマクロ環境における自社との関係性を浮き彫りにしたら、次はミクロ環境(業界内部環境)について分析していきます。
3C分析は業界内における「市場・顧客」「競合」「自社」の3つの観点で分析するためのフレームワークです。
ここではいかに注目して分析していきます。
- Customer:あなたの事業に関わる顧客や市場の変化
- Competitor:あなたの事業の競合他社はこのCustomerの変化に対してどのように対処しているのか
- Company:上記を踏まえて自社が成功できる要因を見つける
アフターコロナ、ウィズコロナ、今後どちらになるかはだれも予測できませんが、これから生き抜く為に、自社でどのような戦略を立てるべきかをこの3C分析で分析します。
①Costomer 市場・顧客を分析する
市場・顧客に関しての分析では先述したPEST分析でマクロ環境を把握、ファイブフォース分析で自社から見ての内的要因(競合、買い手、売り手)、外的要因(新規参入企業、代替品)といった5つの要因の分析を行います。
また、以下の3つのポイントを押さえ、それらに対して自社ができことは何か考えていきます。
- 新型コロナウイルスにより市場の規模はどう変化したのか(市場の規模の把握)
- 市場ニーズは何が存在しているか(市場のニーズの把握)
- 現在の市場は成長、市場の成熟・衰退のどの状態か(市場の状態と変化)
顧客分析に関しては、RFM分析やデシル分析などのフレームワークを利用することも大切ですが、休業や営業時間短縮によって、ここ数か月間で通常とは全く異なる数字になってしまいます。
もちろん、分析するにこしたことはありませんが、アンケートなどを用いて、顧客の状態を知り、対策を行うことが現状から抜け出すための近道です。
②Competitor 競合を分析する
ここでの分析で、新型コロナウイルスの影響を受けた市場や顧客の変化に対して、同業界内の競合がどのような対策を行ているかを把握していきます。
競合の分析のポイントは「競合のビジネスの結果」と「結果が出た理由」の2つの観点から分析することです。
ビジネスの結果とは、結果そのものと結果を出したリソース(経営資源)や売上規模、利益額、広告費、顧客1人あたりの売上や従業員1人あたりの売上などが挙げられます。
また、さすがに全ての情報は手に入れることができませんで、わかる範囲でおおよそでも構いません。より大切なのは後者の「結果が出た理由」です。
新型コロナウイルスにより、自社と同様に何かしらの影響を受けている中で出したビジネスの結果の要因は何かを分析します。
たとえば、競合他社が行ってるマーケティング戦略、セールス、行った新たな商品開発、販売ルートの変化などが挙げられます。
その他、競合他社がこれまで狙っていたはずのニーズから、範囲を拡大したり、違うニーズを狙っている場合はより注目しましょう。
狙うニース内容によっては後出しじゃんけんで、狙っているニーズや他社が狙っていないニーズを自社が狙う戦略を練ることもできます。
ファイブフォース分析で自社を取り巻く脅威を知る
更にファイブフォース分析を行い、自社に脅威を及ぼす可能性を秘める要因を浮き彫りにして、3C分析結果にも反映していきます。
既存競合他社との敵対
あなたの業界がなんであれ、同業界内にいる競合他社は多数存在していることでしょう。新型コロナウイルスの影響を受けている状況は競合他社も同じです。
しかし、すでにあなたよりも先に今後の対策を練っている場合もあります。
この競合他社の数やブランド力、資金力、業界全体の成長性などを分析し、自社にとって脅威となるものは何か、分析結果を元に今後どのようなマーケティング戦略を練るべきかを考えていきます。
新規参入企業の脅威
今回の新型コロナウイルスにより、異種業界から新たに新規参入する企業もすでに見られます。
自社へ悪影響を及ぼす事項は何か、その新規参入企業のブランド力や知名度は高いか、自社や既存競合他社と比較し、異なる戦略は何か、新規参入企業の技術レベルやサービスレベルはどうか、市場内の経済規模を分析、把握していきます。
代替品の脅威
代替品とは、自社サービスや商品に取って代わるものを指しており、自社と同等且つ低価格、もしくはそれを上回る代替品が出てくることで、自社にとって脅威を与えます。
すでに代替品が出てきている場合は、その価格や特徴、自社との違い、顧客が自社から代替品に乗り換える際の費用(スイッチングコスト)などを分析、把握していきます。
売り手の交渉力
売り手とは自社のサービスや商品の原材料を供給している業者(サプライヤー)を指します。もっと簡単にいうと、仕入れ先ですね。
新型コロナウイルスの影響を受けて供給業者の数や自社間とのパワーバランス、市場規模の変化はないか分析します。
また、状況によっては新たな供給業者との取引を検討する場合もあるため、スイッチングコストも分析しておきましょう。
買い手の交渉力
一方、買い手とはあなたのサービスや商品を購入する卸先、販売代行業者や顧客を指します。
今回の新型コロナの影響で買い手数の増減変化はないか、現在の価格設定は適切か、もし値下げする場合はその価格が明確であるか、適切であるか、双方のパワーバランスの変化や適切であるかどうか、市場規模の変化はないか分析します。
このように、ファイブフォース分析を行い、新型コロナウイルスの影響で自社がどのような脅威にされされている、もしくは今後さらされる可能性があるかを把握し、対策を練っていきます。
③Company 自社を分析する
自社分析の目的は、今回の新型コロナウイルスの影響を受けた状態での市場や顧客、競合の分析結果を元に、自社の現在の状況、行っているマーケティング戦略をあらためて把握し、今後のマーケティング戦略を検討する機会獲得です。
ここでは、自社の競争優位性を得るためのフレームワークであるVRIO分析を用いるとスムーズです。
VRIO分析で自社の強みを知り競争優位性を見極める
VRIO分析では、今回の新型コロナウイルスの影響を受けた状態での市場や顧客の変化に対しての自社との比較を行うことができます。
すでに、競合他社の分析で他社の動きを分析した後であれば、その分析結果を参考にしつつ、経済価値、希少性、模倣困難性、組織の4つの観点で分析していきます。
また、VRIO分析は本記事ではすでに触れたファイブフォース分析とも補完し合う関係にありますので、より効果的です。
SWOT分析で現市場でのチャンスを見極める
更に内部環境要因と外部環境要因を分析するフレームワークであるSWOT分析、更にクロスSWOT分析を用いて、自社の強みや弱み、機会、脅威の4つの観点から分析していきます。
SWOT分析の目的は分析としてアウトプットし、戦略目標を立てることです。そしてSWOT分析の結果に基づき、クロスSWOT分析を行い、戦略の方向性を検討していきます。
- 強み×機会で自社にとって積極的戦略を
- 強み×脅威で差別化戦略を
- 弱み×機会で段階的戦略を
- 弱み×脅威で防衛戦略もしくは撤退判断を
こうして、アフターコロナ、ウィズコロナで生き残るための戦略を練っていきます。
コロナ対策関連記事>>アフターコロナ対策 今からでも遅くない準備しておくべきこと
多方向から分析し「知る」ことが大切
どうしようと待っているだけでは何も始まりません。
そして、他社の動きを見てそれから動き出すことで、顧客や見込み客の多くを奪われてしまう可能性、不本意ながら減り続けている運転資金に更なるダメージを受けることになります。
ここ数ヶ月で大きく変化したこの世の中において、ビジネスのあり方、考え方を見直す機会を得ることができたと、これを今後のビジネスのチャンスに変えるべく、まずは「知る」ことが大切です。
繁盛マーケンティングのコンサルティングサービスでは、このように様々な角度から分析し、新たな戦略を練り、クライアントに成果を出すことにフォーカスしています。
現状からまずは回復、そして新型コロナウイルスの騒動前よりも更に飛躍するために、繁盛マーケティングは前向きなあなたを応援します。